「遊ぼう」っていうと 「遊ぼう」っていう。 「馬鹿」っていうと 「馬鹿」っていう。 「もう遊ばない」っていうと 「遊ばない」っていう。 そうして、あとで さみしくなって、 「ごめんね」っていうと 「ごめんね」っていう。 こだまでしょうか、 いいえ、誰でも。 -…
カテゴリ: 朗読
賢者の贈り物/オー・ヘンリー作 | 結城浩訳
1ドル87セント。 それで全部。 しかもそのうち60セントは小銭でした。 小銭は一回の買い物につき一枚か二枚づつ浮かせたものです。 乾物屋や八百屋や肉屋に無理矢理まけさせたので、 しまいに、こんなに値切るなんてという無言の非難で頬が赤くなるほどでした。 デラは…
蜘蛛の糸/芥川龍之介
一 ある日の事でございます。御釈迦様(おしゃかさま)は極楽の蓮池(はすいけ)のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。 池の中に咲いている蓮(はす)の花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色(きんいろ)の蕊(ずい)からは、何とも云えない好…
赤ずきんちゃん/グリム兄妹
むかし、むかし、あるところに、ちいちゃいかわいい女の子がありました。 それはたれだって、ちょいとみただけで、かわいくなるこの子でしたが、でも、たれよりもかれよりも、この子のおばあさんほど、この子をかわいがっているものはなく、この子をみると、なにもかもやり…
ひこうかばん/アンデルセン
むかし、あるとき、お金持のあきんどがありました。 どのくらいお金持だといって、それは町の大通のこらず銀貨で道をこしらえて、そのうえ横町の小路 (こうじ)にまでそれをしきつめて、それでもまだあまるほどのお金を持っていました。 でも、このあきんどは、そんなことは…
走れメロス/太宰治
メロスは激怒した。 必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の王を除かなければならぬと決意した。 メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。 きょう未明メロスは村を出発し、…